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千葉地方裁判所 平成6年(わ)1649号 判決

本店所在地

千葉県市川市大野町四丁目二四五二番地一

法人の名称

有限会社三喜家石材店

(代表者代表取締役 廣澤アイ子)

本籍

千葉県市川市大野町四丁目二四五二番地の一

住所

同県船橋市本郷町四四二番地 クリアハイツ船橋六〇五号

会社役員

廣澤アイ子

昭和一〇年八月一〇日生

右の者らに対する各法人税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官奥村雅弘出席の上審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人有限会社三喜家石材店を罰金一八〇〇万円に、被告人廣澤アイ子を懲役一年にそれぞれ処する。

被告人廣澤アイ子に対し、この裁判確定の日から三年間、右刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人有限会社三喜家石材店(以下「被告会社」という)は、千葉県市川市大野町四丁目二四五二番地一に本店を置き、石材加工販売等を目的とする資本金一〇〇〇万円の有限会社であり、被告人廣澤アイ子は、被告人会社の代表取締役として同会社の業務全般を統括しているものであるが、被告人廣澤アイ子は、被告人会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、売上の一部を除外するなどの方法により所得を秘匿した上、

第一  平成二年四月一日から同三年三月三一日までの事業年度における被告人会社の実際の所得金額が一億二九一五万五〇三九円であったにもかかわらず、同年五月三〇日、同市北方一丁目一一番一〇号所在の市川税務署において、同税務署長に対し、被告人会社の所得金額が零で、納付すべき法人税額はない旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、被告人会社の右事業年度における正規の法人税額四七五七万八四〇〇円を免れ

第二  同三年四月一日から同四年三月三一日までの事業年度における被告人会社の実際の所得金額が四八一六万六二五九円であったにもかかわらず、同年五月二八日、前記市川税務署において、同税務署長に対し、被告人会社の所得金額が、四三四万八六四三円で、これに対する法人税額が一一〇万四〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、被告人会社の右事業年度における正規の法人税額一七一八万五二〇〇円と右申告税額との差額一六〇八万四八〇〇円を免れ

第三  同四年四月一日から同五年三月三一日までの事業年度における被告人会社の実際の所得金額が七三二七万六六〇〇円であったにもかかわらず、同年五月二五日、前記市川税務署において、同税務署長に対し、被告人会社の所得金額が、一三四六万四一〇三円で、これに対する法人税額が四二六万五〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、被告人会社の右事業年度における正規の法人税額二六六九万円と右申告税額との差額二二四二万九五〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

括弧内の数字は検察官請求証拠番号を示す。

判示事実全部につき

一  被告人の当公判廷における供述

一  被告人の検察官及び大蔵事務官に対する各供述調書

一  廣澤信司の検察官に対する供述調書

一  廣澤信司、佐久間孝雄、廣澤昌子及び脇俊彦の大蔵事務官に対する各供述調書

一  検察事務官作成の電話聴取書

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書説明資料

一  登記官作成の登記簿謄本

判示第一の事実につき

一  検察事務官作成の捜査報告書(甲6)

一  大蔵事務官作成の脱税計算書(甲3)

判示第二の事実につき

一  検察事務官作成の捜査報告書(甲7)

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(甲4)

判示第三の事実につき

一  検察事務官作成の捜査報告書(甲8)

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(甲5)

(法令の適用)

被告人有限会社三喜家石材店及び被告人廣澤アイ子の判示各所為は、各事業年度毎に、いずれも法人税法一五九条一項(被告人会社についてはさらに同法一六四条一項)に該当するところ、被告人会社については情状に照し、同法一五九条二項を適用し、被告人廣澤アイ子については所定刑中懲役刑を選択し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、被告人会社については同法四八条二項により合算した金額の範囲内において罰金一八〇〇万円に処し、被告人廣澤アイ子については同法四七条本文、一〇条により最も犯情の重い判示第一の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内において懲役一年に処し、被告人廣澤アイ子に対し同法二五条一項を適用してこの裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予することとする。

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 北島佐一郎)

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